半導体エンジニアになると身につくスキルとは?【貴重な一生もの】

半導体転職希望者
エンジニアになったのにお客の御用聞きばかり(T_T)。半導体エンジニアになって”自分発”の本物のものづくりをしてみたいな。でも半導体エンジニアで学べるスキルは将来もずっと使えるのかな?詳しい人に教えて欲しいな。

たけ
エンジニアにも色々ありますが、半導体エンジニアは自分が0から作り上げる楽しさ&喜びを感じることができますし、本物のものづくりに携われます。半導体歴20年の私が習得できるスキルを伝えますね。

 

本記事の内容
・半導体エンジニアで身につくスキル
・半導体エンジニアで理想的なスキル形成手順
・半導体エンジニアは今後も有望な仕事

たけと申します。現在、半導体メーカーでプロセスエンジニアとして働いています。私は34才、46才で2度転職を経験しており、今の会社は2020年10月に転職で入社しました。

 

20年以上半導体開発の仕事に携わっており、身に着けた実力の証明として一級半導体製品製造技能士という国家資格も持っています。

 

もしあなたが、他分野から半導体エンジニアに興味があって本記事に辿り着いたとしたら、かなり運が良いと思いますし、あなたが記事を選別する目もとても確かで素晴らしいと思います。

 

というのも、半導体エンジニアの業務を正確に述べている記事がとても少ないですし、並みの転職サイトの記事ではどんなスキルが身に付き、将来そのスキルがどう生きてくるのか全く分からないからです。

 

本日は半導体設計からプロセス、そして開発統括まで手掛けた経験をもとに、半導体エンジニアで習得できるスキルをご説明します。半導体業界の将来性もお伝えしますので、ぜひこの業界に飛び込んでみてください。

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半導体エンジニアの仕事の種類紹介

半導体の仕事の詳しい種類は、以前下記の記事でまとめました。

参考半導体エンジニアはどんな仕事か教えます

 

一覧だけ抜き出すと下記のようになっています。

仕事は上記のようになっており、大きく分けて

  • 設計
  • デバイス
  • プロセス
  • 試験

 

というカテゴリになっています。実は他にも半導体エンジニアの仕事は沢山あるのですが、転職市場で求人も圧倒的に多く未経験でも挑戦できる分野は上記がメインですので今回は上記4分野のみを取り扱います。

 

例えば半導体製品を製造したあとに、ウェーハをチップ状に切り分け、セラミックパッケージに収納する実装業務や、デバイス寿命を判定する品質保証の仕事もありますが、求人が少な目で専門性が高いため今回は除外します。

 

ということで、本日は

  • 設計
  • デバイス
  • プロセス
  • 試験

 

の4分野の仕事を行うことで身に着けられるスキルについて述べます。

 

半導体エンジニアになると身につくスキル

では20年の半導体業務経験から分かった半導体エンジニアになると身につくスキルをご紹介します。それは以下の5個になります。

 

  • UNIX、Linux関連知識
  • ツール知識
  • トランジスタ動作の原理
  • プロセス加工の原理
  • 半導体動作理解&プローバー測定技術

では詳しく述べていきます。

 

UNIX、Linux関連知識

主に設計や試験の業務を行うことで身につくスキルになります。あなたはUNIXやLinuxという言葉を聞いたことがありますか?Linuxは最近はパソコンのOSになっているので分かるかもしれないですね。

 

UNIXやLinuxとは、ファイル操作やテキスト編集をコマンドで実行する環境で例えば下記のような画面で操作を行います。

(参考:TECH ACADEMY)
例えば上記で出ている「pwd」はいま自分がいるフォルダを表示、「ls」はフォルダ内のファイル一覧を表示、「cd」は今いるフォルダから他のフォルダへ移るコマンド等です。
半導体設計を行う場合、大きなシミュレーションデータ、レイアウトデータのコピーや編集、削除や移動は非力なWindowsでは無理です。大容量データを簡単・正確に操作するには必須の環境になります。
実はこのUNIX・Linuxは半導体設計に限らず、電気回路の設計全般で使われているため、半導体設計の仕事をしスキル習得すれば、幅広い設計分野で生かせる強いスキルになります。

 

ツール知識

続いて習得可能なスキルはツールの知識になります。半導体の設計やデバイス開発において色々なツールを習得できるのですが、具体的には以下のような感じです。細かいツール名は世代によって変わります。

 

習得できるツール知識
■CADツール(図形描画)
 - 論理回路設計ツール
 - レイアウト設計ツール

■デザインチェック
 - デザインルールチェックツール
 - 論理設計 vs レイアウト一致検証ツール

■動作シミュレーション
 - ダイナミックシミュレーション
 - Static Timing Analysys

一気にいろいろなツールを表記してしまったので、ちょっと難しくて混乱してしまっているかもしれません。少し補足説明をしていきますね。

 

CADツールとは簡単に言えばお絵描きツールです。まず電気回路の1個1個のパーツをキャンバスに並べていくのが論理回路設計と考えてください。論理回路の間に時間調整用の箱等を差し込んで完成させるのがレイアウト設計です。

 

実物はレイアウト図面通りに製造するので、レイアウト設計者は自分の仕事が具現化しやすいので面白いですよ。私も若いころに初めてレイアウト図面通りの実物を見た時は感動しました!

 

続いて、論理回路とレイアウトでデザインに食い違いが無いか確認するのがデザインチェックです。論理回路⇒レイアウトではあくまで時間調整用の修正をするだけなので、動作自体は一致していることを確認します。

 

最後に動作シミュレーションです。仮の動作信号を入れ回路を動かしながら検証するダイナミックシミュレーションと、A地点からB地点まで想定した時間で到達できるか検証するStatic Timing解析を行います。

 

半導体設計に携わるとこれだけの種類のツールに接することができますし、どのツールも必ず半導体設計では使うツールなので、習得すれば他社に転職時にも大きな強みになりますどの半導体メーカーでも生かせるツールなのです。

 

トランジスタ動作の原理

これはデバイス開発やプロセス開発の業務を選んだ時に習得できる内容です。もしかしたら一度はトランジスタという用語は聞いたことがあると思いますが、絵で表すとこんなイメージです。

 


(引用元:富士通研究所 システムLIってなんだろう?)

 

トランジスタというのは、いわば「電流のON/OFFスイッチ」と言えます。電気が流れるということは、上記N型トランジスタの場合なら、ソースからドレインに電子が流れる現象です。

 

もしゲートをきつく締めれば電子が流れなくて電流はOFF、ゲートを緩めれば電子が流れて電流はONと言った具合になります。つまりゲート操作で電流のON/OFFをするのがトランジスタです。

 

どんな大きな回路も何万・何百万というトランジスタから構成されています。つまりトランジスタ1個の動作が分かれば、並べ方のバリエーションはあるにせよどんな電気回路でも動きが分かるのです。

 

トランジスタ動作が分かるだけで、電気回路全体の動きの把握、そして回路自体の良し悪しが分かるようになるのでこのスキルは設計者としても、トランジスタ開発者としてもとても貴重ですね。

 

プロセス加工の原理

プロセスエンジニアになれば、プロセス加工の原理などを詳しく学べます。プロセスの要素技術や加工原理、メカニズムは普遍的な現象なので一度学べばどの半導体メーカーに移っても生かせます

 

たとえばプロセス加工の技術としては以下のようなものがあります。


(引用元:日立ハイテクノロジーズ 半導体製造工程:半導体の部屋)

 

上記の3つの絵は以下の加工の処理順に並んでいます。

■加工手順
1.成膜(膜を全体に付ける)
2.露光・パターン形成(膜を残す箇所はパターン残す)
4.エッチング(いらない膜を削る)

 

最終的に決まった形状の膜を形成したいと思ったら、最初に全体に膜を付けて、残す場所・エリアを露光で区切って、いらない場所を削ってしまうという段階を追った処理をしていく訳です。

 

この1個1個の処理も物理的・化学的な理論に基づいて進んでいくため、一度しっかり学び習得すれば普遍的な知識の為、国内でも海外でもどの半導体メーカーでも生かせる貴重な知識となるのです。

 

業務を通して学術的な知識を身に付けながら、その原理原則を駆使して現物を目の前で作れる業務は珍しいですし、理系の方なら本当に貴重で楽しんで取り組めると思いますよ。

 

半導体動作理解&プローバー測定技術

これは主に半導体試験の業務に携わった時に習得できるスキルです。あなたは出来上がった半導体製品はどのように試験をしてOK/NGとジャッジしているか分かりますか?

 

いろいろな試験がありますがメインは下記です

■半導体試験内容
1.電気を通す端子は正常か?
2.入力信号に対し想定した出力信号が出てるか?
3.どの程度信号を遅らせると動作不良になるか?

 

試験では全ての信号端子に”1”、”0”の信号を入力していきます。一定時間ごとに”1”、”0”の信号を切り替えながら入力し、実際の動作している状態を疑似的に再現してあげる訳です。

 

そして「この信号を入れた時は、最終的にこういう信号が出て欲しい」といった期待される結果があるので、結果的に期待通りの信号が出るかどうかというのが半導体テストなのです。

 

この時、入力信号をUNIXで作りこめば半導体製品の動作理解ができますし、プローバーという測定器で評価を行うことで測定器にも強くなれます。測定器も半導体各社で共有の技術なので潰しが効きます。

 

半導体エンジニアで理想的なスキル形成手順

半導体エンジニアとして最終的に目指すべき姿は

「全分野を把握しつつ複数分野の専門家になる」

 

という状態です。エンジニアあるあるでは1つの分野、例えばレイアウト設計だけ極めるといった専門家志向の方もいると思いますが、半導体分野に限ってはマルチな知識が理想です。

 

というのも、実は半導体の開発では複数分野の出来栄えが密接に影響し合うからなんです。例えばレイアウトの形状が悪ければ、プロセス加工したらより強調されて悪い形状・悪い特性になるとか。

 

こういった特徴を持つ半導体業務で、私がお勧めする習得スキルは

半導体技術の習得手順(オススメ)
1.論理設計技術
2.試験技術
3.プロセス要素技術
4.プロセスインテグレーション技術
5.製品統括(プロジェクトリーダー)

 

まず論理設計を行うことで、半導体の回路構成の骨子をつかむことができます。つづいて試験技術を学び、半導体製品がどんな信号入力でどう動作するのか、そして標準的な測定器プローバーの測定技術を習得します。

 

続けてプロセス要素技術インテグレーションを学ぶことでデバイスをどんな条件どんな処理で作りこんでいくかが分かれば、実物と設計の乖離のレベル、合わせこみに必要な工夫が分かります。

 

ここまでスキルを積めれば、全体統括であるプロジェクトリーダー業務を行うことも可能です。最終的には、設計~製造まで全てを把握しつつ、尖った専門的知識を持つ分野があれば完璧です。

 

半導体エンジニアは今後も有望な仕事

最初にはっきり言いますが

「半導体エンジニアは今後も有望な仕事」

 

であることは間違いありません。近年では国内の半導体メーカーの経営が立ち行かなくなり、外資系へ身売りする事例も増えてきました(旧富士通、旧パナソニック等)。そういった状況だけを見て短絡的に

 

「もう半導体は儲からない、危ない業界」

 

といった間違った結論づけをする人も多数いらっしゃいます。勿論、考え方は人それぞれですが、この結論は完全に間違いです。よく考えてみてください。大前提として半導体無しではもはや日常が成り立ちません

 

いまや半導体は付加価値とボリュームの両方を満たせるメーカーしか生き残れません。それをクリアできない国内メーカーが撤退もしくは外資に身売りした訳ですが、ソニーやキオクシア(旧東芝)などの優れたメーカーも多数あります。

 

更に製造メーカーだけでなく、設計を専門とするデザインハウスだけでも国内に数千社存在し、国内向け海外向けと活発なビジネスを継続できている現実があります。これが正しい状況です。

 

また過去に多くのエンジニアが海外に流れた経緯もあり、今国内で半導体業務を目指せば人材は大切にされ好条件で転職できる状況があります。リーダークラスで年収800~1,200万で普通に募集されていますよ。

 

エンジニアで管理職でもないのに年収1,000万前後を狙える職種が他にどれほどあるでしょうか?希少価値が高く普遍的なスキルも身に付き、活況な業界で高年収も狙えるので、非常に良い仕事だと思います。

 

まとめ

では本日の記事の内容をまとめます。半導体エンジニアの業務で身につくスキルは

  • UNIX、Linux関連知識
  • ツール知識
  • トランジスタ動作の原理把握
  • プロセス加工の原理・動作把握
  • 半導体動作理解&プローバー測定技術

の5種類です。

 

また私がお勧めする半導体のスキル習得順は

半導体技術の習得手順(オススメ)
1.論理設計技術
2.試験技術
3.プロセス要素技術
4.プロセスインテグレーション技術
5.製品統括(プロジェクトリーダー)

 

になります。半導体エンジニアはマルチな知識と技術があってこそ意味があるのです。更に半導体の業務は世界的な需要も多く、活況で、国内メーカーのエンジニアを目指すなら厚遇も期待できます。

 

本日はつたない記事を読んで頂きありがとうございます。もしいまあなたが未経験の半導体業界にチャレンジしたいなら、積極的な行動を取るべきです。30代でも40代でも年代など関係なく熱意が大事です。

 

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